39才女性 漢方薬服用開始から10ヵ月後、5回目の人工授精で妊娠

39才女性 漢方薬服用開始から10ヵ月後、5回目の人工授精で妊娠

当店で子宝相談をされて妊娠・出産された方々の症例をご紹介しています。

S.D.さん 39才 女性 主婦 (大阪市平野区)  漢方薬服用10ヵ月で妊娠

不妊治療まとめ

当店では体外受精を望まれているご夫婦には、最低でも半年間漢方薬を服用してから、体外受精に臨んでくださいとお伝えしています。

 

 

 

S.D.さんにも初めそのようにお話しましたが、すでに7ヵ月間鍼灸で不妊治療をしているということと、鍼灸師さんからもお墨付きをもらっているということでしたので、漢方薬を半年間服用したわけではないですけれども、たしかに鍼灸で半年間は経っていましたから、体質改善の集大成という位置づけで、3ヵ月後に予定されている体外受精に向けて、対応させていただくことになりました。

 

 

 

不妊症の体質改善の仕上げとなると、漢方薬ではホルモンバランスを整える補腎薬は欠かせないですから、これをチョイスし、子宝漢方の基本中の基本と言えば、それは血を補うことですから補血薬をチョイスし、そしてS.D.さんの体質から骨盤内の血流を改善する活血薬をお選びいたしました。

 

 

 

3ヵ月という短い期間ではありましたが、上記の”漢方薬服用後”で記載しました通り、1〜2ヵ月で月経に関する症状に改善がみられました。

 

 

 

そして漢方薬服用から3か月後、予定通り体外受精に臨まれ、その後、結果の報告にご来店いただいたのですが、残念ながら結果は陰性でした。

 

 

 

その後、体外受精は続けられるということと、漢方薬は継続されるということでしたので(鍼灸治療も継続)、ここからは総決算という位置づけをやめ、当店にお越しいただいた時点からのスタートという位置づけで、私一人の責任の下、改めて体質改善をはかる漢方薬を服用していただくことにしました。鍼灸は鍼灸で治療にあたっていただき、漢方は漢方でしかできないこともありますし、また私にしか出来ない子宝治療もありますので、またそうすることが真の漢方と鍼灸の融合なのではないかと、今振り返ってみて強く感じるところです。

 

 

 

さて、そこで実際に私が行った漢方治療はと言いますと、経絡(臓腑間を連絡する通り道)内の滞りを改善することでした。

 

 

 

首の痛み・それによって起きたと思われる腕の痛み&しびれ・苔白は、経絡の滞りがあると起きる症状になります。また、昔から腕の痛みが起きたり、膝が痛くなったりと、経絡が滞りやすい体質であることも途中から分かって来ました。

 

 

 

経絡は全身に張り巡らされているネットワーク機関のようなものですから、そこが滞るということは、あらゆるところに綻びが生じます。

 

 

 

婦人科に目を向けてみますと、性腺軸の働きの低下、骨盤内の循環不全、卵巣の感受性の低下等が、検査数値に現れない程度も含めて、経絡の滞りによって引き起こされると予想されます。そして、こういった要因が複雑に絡み合い、卵の質・子宮内膜・着床率等に問題を引き起こします。このように経絡の滞りは、程度の差はあれ不妊に直結する問題となります。不妊症検査で問題が無い方は当店でも多くいらしゃいまいすが、漢方相談をさせていただくと、ほとんどの方が、漢方医学的に数多く問題を抱えていらっしゃいます。経絡の滞りは、そのうちに一つになります。

 

 

 

そして、経絡の滞りと一言で申し上げましても、実際治療となりますと、経絡の滞りがどのようにして引き起こされたかを、詳細に調べなくてはなりません。気血津液の不足によるものなのか、或は自らの冷えによるものなか、或は外からの冷えの侵入なのか、或は余分な水分(湿邪)なのか等々を突き止めなければ、満足な治療効果を得ることはできません。そして、S.D.さんの経絡の滞りの原因は、一番は湿邪であると判断しました。

 

 

 

そこで妊娠するまでの7ヵ月間、徹底的に湿邪を排泄する漢方薬を服用していただきました。もちろん、子宝漢方ですから、血を補う漢方薬は必須で、湿邪に悪影響を及ぼさない補血薬を選択しました。

 

 

 

この間もう一度、体外受精(5回目)をされ、結果は陰性。5回目の体外受精をするにあたって、内膜症の数値が高いことから2ヵ月間生理を止めるお薬を服用され、そのお薬の副作用で卵の質が上がる可能性もありましたので、不正出血の副作用にも我慢して臨んだ体外受精でしたから、S.D.さんは、かなり落ち込んでいらっしゃいました。しかし、湿邪対策の漢方薬を服用してまだ3ヵ月ということもありましたし、これまでの経験と自分の見立てを信じて、湿邪を取り除く漢方薬を継続していただきました。

 

 

 

そして、それから約3か月後、人工授精での妊娠報告をいただきました。

 

 

 

この方の症例を振り返って見ますと、改めて不妊漢方相談の最前線に自分は立っているのだと強く感じます。というのもこの症例のキーワードは、湿邪による不妊であるのですが、普段色々な勉強会に足を運んで、知識・技術の向上に努めている分けですけれども、湿邪による不妊について触れる治療家・講師が、ほとんどいらっしゃらないからです。また湿邪に触れたとしても、あまりこういうケースはない、という様な感じです。

 

 

 

子宝漢方専門薬局として、多くの不妊症患者さんを診させていただくようになり、湿邪が原因の不妊症は、私は少なくないと実感しています。

 

 

 

今回は、正に私にしかできない子宝相談だっと思いますし、漢方・鍼灸・西洋治療の融合がうまく行ったケースではないでしょうか。

 

 

 

ご報告を聞いて、本当に嬉しく思いました。

 

 

 

来店前

2009年  結婚

 

2010年  婦人科で検査 → 異常なし
同年末から人工授精を4回する

 

2012年1月から体外受精を3回する ⇒ 胚盤胞まで行かず、卵の質が良くないと指摘される
同年8月 鍼灸治療をはじめる

 

 

 

来店のきっかけ

鍼灸の先生のご紹介でご来店。タイミング、人工授精、体外受精とステップアップし、病院ですすめられた運動にも取り組むも結果が出ず、打つ手がないという状況から鍼灸治療をはじめて7ヵ月が経過。鍼灸の先生からは、体も整ってきたので、そろそろ体外受精をしても良いころと言われ、でもその前に数カ月間漢方薬を服用したい。

 

 

 

初回の問診

  • 生理周期 28〜30日間
  • 生理痛 軽め、お腹と腰
  • 生理の出血の期間が、5〜6日間、色は淡紅より
  • 塊が出る
  • 生理前 : 時々胸が痛くなる、イライラする、腰が時々重くなる

 

その他自覚症状

冷え性:足先だけ・寒がりで暑がり・睡眠:多夢、途中で目が覚める・首のヘルニアとそれから来る腕の痛み・舌淡紅・苔白・舌に歯形がつく・舌の潤い不足

 

 

 

漢方薬服用後

服用1ヵ月
・生理痛なし、色が紅に改善、塊がほぼなく改善
・足先の冷えが改善傾向
・生理前は、腰だけ依然だるい。イライラ改善、胸の痛みなし
・首が上がるようになり、腕の痛みもかなり引くも、腕にしびれが起きる
・舌が潤う(改善)

 

服用2ヵ月
・冷えが無くなる
・腕のしびれもほとんど治まる(改善)

 

服用3ヵ月
・4回目の体外受精 結果陰性
・内膜症の数値が高く、ディナゲスト錠1mg×2ヵ月間服用開始(卵の質が良くなる可能性もあるとのこと)

 

服用7ヵ月
・5回目の体外受精 結果陰性

 

服用9ヵ月
・生理痛がほんの少しあったくらいで、他はすべて改善
・生理前にあった症状も全くなくなり改善
・冷え性が完全になくなり改善(毎年12月には、必ず足先が冷えていたのが感じない。お風呂に上がってもすぐに冷えていたのが今はない。)
・舌の苔が時々白いのが課題
・人工授精をする(漢方薬を服用してから初)

 

2014.01.06  妊娠検査陽性反応(服用10ヵ月)
2014.01.07  胎嚢確認(5週目)
2014.01.20  心拍確認
2014.05.10  現在22週目で赤ちゃんは順調ですとのこと
2014.07.14  9カ月目で順調ですと、笑顔でご報告いただきました

 

 

 

  • この記事を書いた人: 国際中医専門員 医薬品登録販売者 三ツ川道洋
  • この記事を監修した人: 薬剤師 三ツ川亜希